どうして新鍋理沙がオポジットなのか。世界バレー2018日本対オランダその3

昨日の記事で世界バレーの日本対オランダ戦で田代選手がポジショナルフォールトの反則を犯していることを指摘しました。今日はどうして田代選手がこのような反則を犯してしまったのか、それについて説明します。

田代選手がこの反則を犯したとき、ローテはS6ローテでした。このS6ローテとは、セッターがサーブを打つ順番が6番目にやってくるローテのことです。言い換えるならば、セッターが後衛の真ん中に位置するローテのことです。

セッターが後衛のとき、セッターはサーブが打たれてから、その後で前衛の選手よりも前にでなければなりません。

後ろから走っていってトスを上げるのはなかなか難しいのですが、ほとんどのトップレベルのチームではこのローテでこの問題が起きることはありません。

現代バレーでは一般にセッター対角の選手はレセプションに参加しない

1990年代以降のジャンプドライブサーブの普及によるサーブの強力化の流れを受けて、現在は3人でレセプションをする体制が一般的です。

その三人とは、前衛・後衛のアウトサイドヒッター(レフト)の選手と後衛ミドルブロッカー(センター)の選手の代わりに入ったリベロの選手です。

ですから、S6ローテのとき、後衛の真ん中にいるセッターよりも前にいなければならない前衛セッター対角の選手はレセプションに参加しません。このセッター対角の選手をネット付近まで前に立たせることで、セッターの選手も先にネット付近に立つことができます。

しかし、日本代表はセッター対角の新鍋にレセプション参加させています。これは新鍋のレセプション技術の高さが評価されてのことです。(参考:日本には、“省エネ”バレーが必要だ。中田監督が新鍋理沙に託した役割。

ただしそのせいで、セッター田代はレセプション参加する新鍋選手よりも後方からスタートせざるを得ず、負担が生じています。

新鍋がオポジットで起用される理由は背が低いから

セッター対角の選手のことを対角を意味する英語からオポジットといいます。この言葉もだいぶ一般化してきたので、ここからはオポジットと呼ばせてもらいます。

ここまで読んで頂いた方の中には次のような疑問をお持ちになる方もいるかと思います。

「新鍋をオポジットではなくアウトサイドヒッターで起用すればいいのではないか?」

それは無理なのです。なぜなら、新鍋の背が低いからです。

背の低い新鍋をアウトサイドヒッターで起用すると、セッターの田代と新鍋が同時に前衛になるローテが発生します。背の低い選手が二人も前衛にいてはブロックが崩壊します。

背の低いセッターと一緒に前衛にはできないから、セッターの対角に位置するオポジットしか新鍋を起用できるポジションはないのです。

選手の身長について後日もう少し話させてください。(翌日の記事