【観戦ガイド】すぐにバレー通ぶれるバレーボールの見方2 アタック編(数的優位とバックアタック)
昨日に引き続き、バレーボール観戦時に簡単にバレーボール通ぶれる、ちょっとした視点を紹介していきます。
昨日の記事:【観戦ガイド】すぐにバレー通ぶれるバレーボールの見方1 アタック編(トスの高さとテンポ)
今回のテーマである「数的優位」とは、アタック側の参加人数と、ディフェンス側の参加人数を比べたときに、どちらが多くの人数をかけることができているかを示します。
サッカーなどの競技であれば、この視点を意識されている方は多いと思います。サッカー選手はドリブルでディフェンダーを抜いたり、スルーパスでディフェンスラインの裏に飛び出したり、細かな動きでディフェンダーのマークを外したりして、ディフェンス参加人数を減らすことで、数的優位を作ります。
バレーボールの場合はどのようにして数的優位を作ればよいでしょうか。
バレーボールの場合、どうやっても相手のディフェンスのうち、後衛のディガー3人はどうやってもかわすことができないので、前衛ブロッカーよりも、アタックに参加する人数を増やせるように考えます。
かつての数的優位の作り方
かつて数的優位を作るための一般的な方法論は、時間差攻撃(コンビネーション・アタック)でした。囮になる選手にブロッカーをマークさせてジャンプを誘導し、ブロッカーがジャンプしたあとでもう一度ジャンプする体勢が整う前に、別のアタッカーが攻撃する方法です。
先に飛ぶアタッカーに付いてジャンプしてしまったブロッカーはあとから来るアタッカーに対応できないし、あとから来るアタッカーに備えてしまうと、もし先に飛ぶアタッカーのほうがスパイクを打ってきたときに対応できません。人間一度ジャンプすると、着地してもう一度踏ん張るまで、二度目のジャンプはできないですから。
しかし、現代バレーにおいてはトップレベルのチームで、時間差攻撃を用いることはありません。それにはブロック戦術の変化が大きく影響しているのですが、それについてはまたこんどブロック編の記事を書きたいと思います(気になる方は リードブロック で検索してみてください)。
現代バレーボールでは数的優位は簡単に作れる
現代バレーボールでは、小難しいことを考えなくても、簡単に攻撃側が数的優位を作ることができます。
なぜかというと、バックアタックが普通に使われるようになったからです。
かつて、バックアタックが一般的ではなかった頃は、ブロッカーは常に3人いるのに対して、アタッカーは、セッターが後衛のときは3人、セッターが前衛のときは2人しかいませんでした。アタック側が絶対的に不利だったのです。ですから、数的優位を確保するためには、時間差攻撃という特殊な攻撃方法を用いなければなりませんでした。
その後、セッターの対角であるオポジットの選手にバックアタックを打たせることで、セッターが前衛のときもアタッカーを3人用意することができるようになりました。これによって、アタック側とディフェンス側の人数がようやく均衡しました。
現在ではアウトサイドヒッター(レフト)の選手もバックアタックを打つのが一般的になりました。これにより、コート上の6人のうち、セッターとリベロを除く4人が常に攻撃参加できるようになりました。ついに、アタック側がいつでも数的優位に立てるようになったのです。
まとめ:アタックに参加している人数を数えてみよう
かつては、バックアタックの登場以前は絶対的に数的不利であったアタック側が、バックアタックの登場によって絶対的に数的優位を作れるようになりました。バックアタックは数的優位をつくるための「戦術」なのです。
にもかかわらず、現在、バックアタックは個人の「技術」だと誤解されています。ですから、「〇〇選手はバックアタックが得意」だとか「すばらしいバックアタックが決まりました」だとか、実況されています。
しかし、本当はバックアタックは数的優位が作れていなければ意味がないのです。セッターがトスを上げるとき、何人の選手が攻撃参加するために助走をしているでしょうか。理論上はセッターとリベロを除く4人が常に攻撃参加可能なはずです。
でも、ボールウォッチャーになっているアタッカーが結構いませんか。後衛選手がバックアタックをしても、前衛選手がサボっていては数的優位が作れません。
もちろん、日本代表選手は非常に技術が高いので、数的不利でも得点が決まることも多いです。でも、それでは相手が強くなるごとに厳しくなってきます。
ですから、これからバレーボール見るときは攻撃参加人数を数えてみてください。もし、セッターにボールが返っているのに、攻撃参加人数が3人以下だったら、「〇〇選手がボールウォッチャーになっている」「これじゃあ数的優位がつくれないなあ」などつぶやくと、バレーボールがわかっている感がでますよ。