2019年の振り返りと2020年の投資戦略

2019年は米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱問題など、国際的な政局振り回される一年であったように思われる。この2019年の振り返りと2020年の展望について、Ashidainet Investment代表のイネト・アシダ氏に話を聞いた。


―2019年はアシダさんにとってどのような一年でしたか?

うまくいったこともあったし、うまくいかなかったこともあったね。まあ、毎年のことだけど。

―アシダさんは2019年の1月に「ドル円の売り、日本株の売り、ゴールドの買い」が2019年の投資戦略だとおっしゃっていましたね。(2019年の投資戦略

そのとおりだ。その中では一番うまくいったのはゴールドだね。ゴールドは年初には1オンス1300ドルを割っていたものが、1500ドルを越した。おおよそ15%の上昇だ。

―ドル円についてはいかがでしょうか。

価格のレンジとしては、概ね予想通りだった。確か、1ドル110円を超える場面があれば積極的に売りポジションを持つべきだと言ったと思う。それは確かにそのとおりになっている。下値も年初来の安値と同じ104円台だという点も予想通りだった。

―ということは、こちらでも5パーセントぐらいの利益が出せたということですね。

年初に言った通りの取引をしていればね。

―最後に日本株ですが、こちらについてはアシダさんは18000円を割るという予想でした。

日本株についてははっきり言って大きく予想を外したというしかないね。結局年初以来、2万円を割ることすらなかった。大損だ。

―どうして予想通りにいかなかったんでしょうか。

パウエルFRB議長の方針転換が大きい。2018年パウエルは金融引き締めの方向で動いていた。トランプは文句を言っていたが、中央銀行としては正しい判断だったとおもうがね。でも、それが原因で2018年の世界同時株安を引き起こしてしまった。それでも私は彼の矜持を褒め称えたい気分だった。市場や政治家を敵に回しても過度な緩和を是正すべきという中央銀行総裁としての矜持だ。でも、彼には矜持などなにもないことが明らかになった1年だった。

―FRBが再び金融緩和に動いたことが予想を外した原因だと言うことですか

そのとおりだ。金融緩和が終われば、金融緩和相場は終わるというのが去年の予想だった。でも、金融緩和がふたたびはじまった

―2020年、日本の個人投資家にむけてアドバイスをお願いします。

まず、2020年は関係なく投資の普遍的な真実だが、分散投資が大切だということだ。2019年にもし私が日本株の売りだけを実行していたら大損をこいていたことだろう。事実、日本株については大損をこいたと言って過言ではない。しかし、総合的には利益を出した。だったら、金にだけ投資していればよかったと思うかもしれない。たしかにそうだがそれは結果論に過ぎない。いつもいつでも100パーセント予想が当たるわけではない。だからあらゆる投資家が述べているように分散投資がすべての基本なんだ。

そのうえで、一つのアイデアとして米国債の買いだ。FRBは金融緩和に舵を切った。これは、日本と同じ出口なき金融緩和のはじまりだと思っている。金融緩和で金利が下がる。つまり、債権価格が上昇するだろう。

それから、やはり貴金属だ。ゴールドは今年も1400ドル台であるうちにまた買ってみようを思っている。それから、銀・プラチナに注目したい。ゴールドは歴史的高値にあるが、銀やプラチナは長いスパンで見れば必ずしも高いわけではない。

―株や為替はどうでしょうか。

長い目でみれば、昨年同様、ドル円の売り、日本株の売りという方向性は私の中では変わっていない。ただ、ここ数年、思ったよりも早く大きく株やドル円が上昇し、思ったよりも遅く、小さくしか下落しないことが続いている
今年は大統領選もある。大統領選後までは株もドル円も上昇しそうな気がする。ただ長い目見れば明らかに今の水準はおかしいんだ。だから、買いで対応する気はない。
売りの場合、タイミングが重要だ。買いの場合は上がるまで待っていればいいが、売りではそうはいかない。タイミングは大統領選が終わってから考えるので間に合うのではないだろうか。さっき言ったように、上がるのはやたらと早いけど、なかなか下がらないことが続いているから。

―2020年は、米国債の買い・ゴールド・シルバー・プラチナの買い、株と為替は大統領選後まで保留ということですね。

まあそうだね。勇気のある人は株高やドル高にかけてみてもいいんじゃないかな。私はしないけどね。

―本日はどうもありがとうございました。